肝硬変(かんこうへん)

肝硬変とは、肝臓の慢性的な炎症により肝臓が線維化し、肝機能が低下した状態のこと。

傾向と対策

肝硬変の①原因②合併症③食事指導について覚えよう。また、④検査所見重症度の分類についてもおさえておこう。

よくわかる解説

肝硬変とは

肝臓に慢性的な炎症が長期間で起こり、肝細胞の破壊と修復を繰り返し、結合組織の繊維化(肝臓内にかさぶたができる状態)が起こる。
この影響で機能不全が進行し、やわらかく正常な肝臓が全体的に硬く小さくなる状態を肝硬変という。
代償期肝機能が保たれ症状がほとんど出現していない)と、非代償期肝機能が低下し症状が著明に出現する)があり、進行して硬くなった肝臓は元の状態には戻らない為、早期に原因を取り除き線維化の進行を食い止めることが重要になる。
肝硬変が悪化すると、肝不全、さらに肝臓がんに発展する。
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原因

肝炎ウイルス感染で、B型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスが全体の8割近くを占める。その他、アルコール性肝炎慢性肝炎、自己免疫性肝炎、脂肪肝などがある。
近年は「非アルコール性脂肪性肝疾患」も原因として注目されている。


合併症

肝硬変が悪化すると、肝機能の低下や血流障害による症状(消化管出血、腹水むくみ黄疸など)が現れ、最悪の場合は正常な機能を果たせない肝不全や、肝臓がんに発展し、死に至る場合がある。
その他、肝硬変の合併症として、食道静脈瘤・胃静脈瘤、肝機能の障害により、血小板減少、皮下出血腹水貯留、浮腫黄疸肝性脳症羽ばたき振戦)等の症状がある。
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食事指導

食事は塩分を抑えた薄味の味付けとして、余分な食塩摂取を控え浮腫を防ぐように指導する。
肝硬変の際の食事は、脂肪摂取はエネルギー比20~25%とし、低蛋白食にする。また、アンモニアの再吸収を阻害するためにも便秘の予防が重要であり、食物繊維の摂取は積極的に行うよう指導する。


検査所見

1)血清アルブミン値低下
肝臓アルブミンは産生されるため、血清アルブミン値は低下する。

2)プロトロンビン時間延長
肝機能低下により、凝固因子不足となり、プロトロンビン時間は延長となる。

3)アンモニア値上昇
肝臓でアンモニアは代謝されるため、肝機能低下により尿素に変換できなくなり、アンモニア値は上昇する。

4)尿酸値低下
肝臓で主に尿酸が産生されるため、尿酸値は肝機能低下により値は低下する。


重症度の分類

肝硬変は重症度によって分類され、治療法を決定する。分類にはチャイルド・ピュー分類を用います。肝性脳症腹水血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度、プロトロンビン時間延長の5項目に合わせた検査結果を基準として、3グレード(軽度、中等度、高度の3段階)に分類する。
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