次の文を読み〔問題94〕、〔問題95〕、〔問題96〕の問いに答えよ。
Aさん(48歳、男性)は、横断歩道を歩行中に乗用車に衝突され、
救命救急センターに搬送された。搬送時、呼びかけに開眼せず、四肢の筋緊張が充進していた。
呼吸数30/分、
脈拍60/分、
血圧142/98mmHgであった。右側頭部と右肩甲骨部の擦過傷以外に目立った外傷はなかった。
〔問題94〕
搬送時のAさんの様子を図に示す。Aさんの状態はどれか。
1→
項部硬直とは、
仰臥位から他動的に頭部を前屈させるときに抵抗を生じることである。
髄膜刺激症状の一つで、
クモ膜下出血、
髄膜炎、脳炎などの診断に用いられる。Aさんの状態には該当しない。
2→
除脳硬直は
頭蓋内圧亢進が悪化した際の
中脳や
橋の障害で特にみられ、四肢の
伸展、上肢の
内転、下肢の足
底屈などがみられる。Aさんは四肢の筋緊張は亢進している状態であるため適切でない。
3→
除皮質硬直は、
大脳皮質に広範囲の障害が起こった際に生じ、上肢が
屈曲位となり肘関節は
屈曲して胸の上におかれるのが特徴で、下肢の
伸展がみられる。
4→間代性
けいれんは、ミオクローヌスともいわれ、筋肉の収縮と弛緩を繰り返す
痙攣で、
てんかんなどでみられる。規則性のない不随意運動である。Aさんは現在、
痙攣はみられていないため適切でない。
5→
強直性
けいれんは
てんかんなどでみられる症状のひとつで、四肢・頸部・体幹が過
伸展を持続的に起こすように筋がつっぱるものである。Aさんの状態には適切でない。