老年期(ろうねんき)
65歳以上を老年期という。尿量、味覚感度、体温調節、抗体産生、生殖機能、聴力などが低下する時期である。
傾向と対策
よくわかる解説
身体的機能の低下
老年期の身体的な特徴は、尿量の減少、味覚感度の低下、体温調節能の低下、抗体産生の低下、生殖器および生殖機能の変化、高音域における聴力の低下などがある。
尿量の減少の原因として、膀胱の萎縮・弾力性の衰え、膀胱支配神経の不安定、膀胱内圧の異常、骨盤底の衰え、尿道の狭窄などが挙げられる。
味覚は加齢に伴い感度が低下するが、5種類ある中でも塩味は感度の低下を感じやすい。みそ汁や漬物などが薄味と感じてきたら要注意である。
成人の場合は外来抗原に対し抗体産生は亢進するが、加齢に伴い、外来抗原に対し抗体産生は減少する。
加齢により体温調節を司る視床下部の機能も低下する、筋肉組織も減少するため、体温調節がしにくくなる。
精神的な変化
老年期のうつ病は心気症状が多いのが特徴である。
心気症状とは、診察や検査では器質的身体疾患がないにもかかわらず、少しの不調に対して自分が重篤な病気にかかるのではないかと恐れたり、強い思い込みにとらわれる状態である。
老年期の体温調節について
基礎代謝が低下して体温調節機能が衰えるため、温めても体温が上昇しにくく、発汗には若者よりも高い体温が必要になる。更に、老年期は、骨格筋も減少するため熱生産能が低下して体温が上がりにくく、末梢血管収縮反応が低下するため、体内の熱が逃げやすくなる。その為、暑さに対する感受性は低下し、脱水や熱中症などの電解質異常にかかりやすくなる。
老年期の免疫機能の特徴
老化に伴いT細胞の分化に関わる胸腺の機能が低下するため、免疫機能が低下しやすくなる。骨髄由来のB細胞も、加齢の影響を受けて機能が低下しやすいと言われている。また、加齢により自己と非自己を判断する機能が低下することにより、自分自身に対しても自己抗体が反応するようになる。その結果、自己免疫疾患や慢性炎症などにかかりやすくなることがわかっている。
T細胞やB細胞の機能低下に伴い、外来抗原に対する抗体の産生も低下する。
ハヴィガースト
ハヴィガーストによる老年期における発達課題として、5つが挙げられている。
(1) 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
(2) 隠退と減少した収入に適応すること
(3) 配偶者の死に適応すること
(4) 自分と同年輩の老人たちと明るい親密な関係を確立すること
(5) 肉体的生活を満足におくれるよう準備態勢を確立すること
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