うつ病(うつびょう)

うつ病とは、抑うつ状態を主症状とする精神疾患の一つ。

傾向と対策

うつ病の①原因②症状③治療方法④看護ケアのポイント⑤高齢者のうつ病の特徴をおさえておこう!

よくわかる解説

うつ病の原因

うつ病の発症は、感情のコントロールに関与している神経伝達物質セロトニンが不足することが原因であると考えられている。


うつ病の症状

興味と喜びの喪失は、あらゆることに興味を持てない状況でうつ病の典型的な症状である。
不眠や意欲の減退、不安、思考の抑制、焦燥感などの症状が2週間以上持続する場合にうつ病と診断される。


うつ病の治療方法

うつ状態の重篤度により、
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」
「三環系抗うつ剤」
「炭酸リチウム」
電気けいれん療法」などが選択される
(軽度→重度順)。


選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

SSRIは開始後、徐々に増量しながら効果を得ていく薬剤で、効果発現まで1~2週間はかかる。
うつ病の第一選択薬とされることが多い。

SSRIには副作用として、便秘や排尿障害、胃部不快感、吐気、嘔吐、口渇など抗コリン作用が認められるが、三環系抗うつ剤に比べるとその作用は弱いとされている。

中断、減量に際して中断症候群(幻聴、めまい、耳鳴り、ふらつき等)が起こる可能性があり、医師の指示に従うべきである。


三環系抗うつ剤

三環系抗うつ薬の副作用には抗コリン作用がある。そのため、便秘の他にも排尿困難が起こる可能性がある。


炭酸リチウム

うつ病双極性障害などの治療に有効な炭酸リチウムは、気分安定薬として使用するが、有効血中濃度の範囲は0.60〜1.20mEq/Lと非常に狭く、それを超えるとリチウム中毒を引き起こしてしまう為、注意が必要である。
「炭酸リチウム=薬物血中濃度検査」って位にセットで覚えておこう。


電気けいれん療法

薬物療法の効果がない場合や、食事摂取ができず生命に危険が及んでいる場合や、自殺の危険が切迫しており早期の改善が必要な場合など、重度のうつ病は高齢者含め、電気けいれん療法の適応となる。


看護ケアのポイント

うつ状態の患者への看護師の基本姿勢として、患者の気持ちを否定せず、共感的に傾聴する態度が必要である。

また、過去に自殺企図のある患者や、自殺願望がある患者に対し、希死念慮の有無を確認することは症状をアセスメントする上で重要項目となる。

なお、躁状態の患者に対しては、静かな場所に移動するなどして、高揚した気持ちをいったん落ち着かせることが大切である。


高齢者のうつ病の特徴

高齢者のうつ病の特徴には、痛み、めまい、動悸や食欲低下、不眠などの身体の不調を訴えることが多く、心気症状が多いのが特徴である。また、認知症との区別がつきにくいのも特徴のひとつといえる。

アセスメント方法の一つとして高齢者を対象とした抑うつ症状のスクリーニング検査「GDS〈Geriatric Depression Scale〉15」がある。


心気症状

心気症状とは、医学的な診察や検査では明らかな器質的身体疾患がないにもかかわらず、ちょっとした身体的不調に対して自分が重篤な病気にかかる(かかっている)のではないかと恐れたり、既に重篤な病気にかかってしまっているという強い思い込みにとらわれる状態のこと。

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