Aさん(60歳、男性)は、転倒して第5
頸椎レベルの
脊髄を損傷した。肩を上げることはできるが、上肢はわずかに指先を動かせる程度である。
呼吸数22/分、
脈拍86/分、
血圧100/70mmHg、
経皮的動脈血酸素飽和度〈
SpO2〉97%であった。Aさんは「息がしづらい」と言っている。Aさんの状態で適切なのはどれか。2つ選べ。
1→
経皮的動脈血酸素飽和度〈
SpO2〉は97%であり、
低酸素血症とは言えない。
低酸素血症とは、
PaO2≦60Torrまたは
SpO2≦90 %の状態である。
2→Aさんは第5
頸椎レベルの
脊髄を損傷している。第3
頸椎~第5
頸椎は横隔神経を支配するので、この部位が障害されると呼吸機能が障害されるため
胸郭運動は見られない。
3→
無気肺とは、肺の含気量の減少により肺容量が減少した状態をいう。呼吸筋低下により、
咳嗽や効果的な
喀痰排出が困難となり、
無気肺を起こしやすくなる。
4→
腹式呼吸とは、一般的には
胸郭をなるべく動かさずに行う呼吸のことをいう。横隔神経は第3~5頸神経から構成されているが、
横隔膜の麻痺はないため
腹式呼吸は見られる。
5→
閉塞性換気障害は、
気管支の狭窄や
肺胞の硬化により呼気がうまくできなくなる呼気性の
呼吸困難である。代表的な疾患は、
慢性閉塞性肺疾患(
COPD)や
気管支喘息、
肺気腫などがある。