輸血(ゆけつ)

輸血とは、血液成分の不足を自他の血液から補う治療法のこと。

傾向と対策

輸血を実施する際の①注意のポイントと、②起こりやすい副作用症状について、もう一度おさらいしておこう!

よくわかる解説

輸血とは

輸血とは、血液成分の不足を補う治療法のこと。全成分をそのまま輸血する「全血輸血」、赤血球血小板血漿成分および凝固因子などの成分毎に分けた「成分輸血」がある。
200 mlの献血から作られる量が1単位とされ、赤血球は140ml、血小板は20ml、血漿成分は120mlである。


注意のポイント_1

輸血する際には、凝集塊などを除くためであったり、溶血を防ぐため、通常輸血専用のセットがあるのでそれを用いる。また、細い注射針を用いると溶血を起こすため、18~20Gの太い注射針を用いる。


注意のポイント_2

投与前、輸血と患者の血液との適合性を調べる交差試験の結果は、払い出しの際に臨床検査技師によるチェック、到着して使用する前には医師と看護師でチェック、使用直前にも看護師同士でチェックするなど、厳重に繰り返しチェックする。
輸血開始直後のアレルギーチェックの為、5分間は患者の側を離れずに行う必要がある。急ぎでなければ、初めはゆっくり滴下する方が安全である。またアレルギー反応は15分以内に特に起こりやすいため、開始15分程度は特に注意が必要である。


注意のポイント_3

手術中の輸血の有無は事例によって異なるが、循環血液量に対して出血量が20%未満の場合は輸血の適応ではなく、およそ100mL/分以上の大量出血では速やかに新鮮凍結血漿を、また血小板数が3万/mL未満に低下した場合には血小板輸血が必要になることが多い。


起こりやすい副作用症状

輸血による副作用も様々存在する。
輸血後移植片対宿主病発症は輸血から1〜2週間後に発熱や発疹、肝機能障害や下痢、日和見感染症などがおこるものである。輸血血液中に含まれるリンパ球の増殖により受血者の全身組織が攻撃・破壊される疾患である。この予防のために、あらかじめ輸血には放射線が照射されている。有効な治療法がないため、重症化すると多臓器不全により致死的経過をたどりやすい。


溶血性反応は即時型と遅延型に分類され、ABO不適合などの即時型の急性溶血性反応の副作用は輸血後24時間以内に発症し、遅延型の遅発性溶血性反応の副作用は輸血後3日程で発症する。

アナフィラキシー反応輸血後早期に生じる。アナフィラキシー反応が出ると血管が拡張し、血圧が低下する為、アナフィラキシー反応がみられたら即時に投与を中止する必要がある。

貧血の場合には、Hb7.0g/dLが輸血を行うひとつの目安とされているが、貧血の進行度や罹患期間などによっても必要量が異なり、一律に輸血を決めることは困難である(厚生労働省)

血小板輸血の際には、使用前まで振盪させる。
(室温で振盪させておかないと品質に変化が生じるため)

ヒト免疫不全ウイルスHIV)の感染経路は、性行為、血液感染、母子感染で、、感染者からの輸血で感染する。

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