Aちゃん(生後4か月、女児)は、嘔吐と
けいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため
入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。
大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの
頭部CTを示す。Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。
1→急性脳症は主にウィルスに感染することにより脳に急激な
浮腫が生じる疾患であり、髄液圧が上昇するが中枢神経系に明確な病態は生じないのが特徴である。脳に
浮腫を生じるため、
意識障害や
痙攣などの症状が出現する。急性脳症では、CT画像右側の白色部分の説明が困難であるため不適切である。
2→
てんかんは
大脳神経細胞の異常な電気活動により発作が起こるものであり、独特の脳波や意識消失などが観察されるが、CT上の異常はみられない。
てんかんではCT画像の説明ができないため不適切である。
3→
硬膜下血腫は、頭蓋骨のすぐ内側の
硬膜と脳表面の間に発生する出血のことをさす。
CT画像では、右縁の白色部分が出血であり、それによって片方の脳室が圧迫されて見えなくなっている状態であるため、
硬膜下血腫の可能性が最も高いと考えられる。
4→
細菌性
髄膜炎は、血液中の
細菌が髄膜腔に侵入することにより発症する疾患である。
意識障害や
痙攣を伴い、発熱もみられる。
原因菌には
緑膿菌やブドウ球菌、
大腸菌などが多く、CT画像上の異常はみられないため、不適切である。