第113回看護師国家試験 午後14

1→食道癌は、食道の粘膜に発生する悪性腫瘍であり、食道の壁に器質的な変化（腫瘍の成長による狭窄や潰瘍など）を引き起こします。これにより、食物の通過障害や痛み、嚥下時の不快感などの嚥下障害が引き起こされます。正しく、食道癌は器質的変化を伴い嚥下障害を引き起こす代表的な疾患の一つです。選択肢1が正解です。

2→脳血管疾患、特に脳卒中（脳梗塞や脳出血など）は、中枢神経系に影響を与えます。脳の損傷は神経の指令系統を狂わせ、筋肉の調整が困難になることで嚥下障害を引き起こすことがありますが、これは機能的な障害であり、器質的な変化ではありません。したがって、この選択肢は正答ではありません。

3→筋強直性ジストロフィーは、ジストロフィンというタンパク質の異常による遺伝性の筋疾患です。筋力の低下や筋肉の硬直を特徴とし、これによって嚥下筋の機能障害が引き起こされることがありますが、これは主に神経筋ジャンクションや筋肉そのものの機能的変化によるものであり、器質的な変化によるものではありません。このため、正答ではありません。

4→ギラン・バレー症候群は、末梢神経系の急性炎症性疾患で、感染後に自己免疫反応によって神経の髄鞘が損傷されることが特徴です。これによる筋力の低下や運動機能の障害は、嚥下困難をもたらすことがありますが、これも機能的な障害であり、飲み込みのプロセスにおける器質的な変化が原因ではありません。したがって、この選択肢は正答ではありません。