次の文を読み〔問題94〕、〔問題95〕、〔問題96〕の問いに答えよ。
Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の
健康診断で、
血圧142/90mmHgと
尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、
感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。
血清IgAが高値で
IgA腎症が疑われ
入院した。
〔問題94〕
確定診断のために必要な検査はどれか。
1→腎
生検は、超音波ガイド下で行い腎臓の組織を一部採取し、腎疾患の組織型や予後などを診断することができる。
2→尿
細胞診検査は、尿の中の細胞を顕微鏡で観察して悪性の細胞があるか調べる検査である。
膀胱や尿管
尿道などの
尿路に剥がれた細胞が含まれているので、その観察により
炎症性疾患、
悪性腫瘍などを発見することができる。この検査は、尿は自然に排出するため身体に負担がなく何度でも検査をすることが可能である。
3→腎血管造影は、腎臓の血管に狭窄などの異常が疑われる時、腎臓に
腫瘍が疑われる時などに行う。大腿部の
動脈からカテーテルを挿入し、
腎動脈に造影剤を直接注入し、腎臓の血管をX線撮影する検査である。
4→腹部
超音波検査は、腹部を中心に、異常がないかを調べる検査である。
胆石、ポリープ、のう胞、
腫瘍などの限局性病変、脂肪肝、
慢性肝炎などのびまん性疾患、各臓器の形態などを観察できる。
5→腎シンチグラフィは、ラジオアイソトープ(RI)という薬を用いて、腎臓の状態を調べる検査である。この検査では、アイソトープが腎臓に集積し、腎盂→尿管→
膀胱へと排泄される様子を時間を追って画像でとらえることができ、腎臓から
膀胱までのなかでどこに原因があるのか、腎障害はどの程度なのかを視覚的に確認できる。その他に、移植した腎臓の急性拒絶反応の診断にも有効で、また同時に撮影できるレノグラム(左右の腎臓の時間-放射能曲線)というグラフで、腎臓に流れ込む血液の様子、左右の腎臓それぞれの機能を知ることができる。