第104回国家試験 午前50
Aさん(39歳、男性、会社員)は、最近口渇が強く、飲水量が増えた。毎日5L以上の水のような薄い排尿があり、夜間に何回も排尿に起きるようになったため病院を受診しホルモン分泌異常を指摘された。原因と考えられるホルモンが分泌される部位はどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→
視床下部から分泌されるホルモンの多くは、
下垂体前葉から出るホルモンの分泌調節に関わる。
視床下部から分泌するのは、
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、
性腺刺激ホルモン放出ホルモン、
成長ホルモン放出ホルモンなどである。
視床下部より分泌されるホルモンは、排尿に関わるものはない。
2→設問の強い口渇と多量の薄い尿という症状は、中枢性
尿崩症が考えられる。中枢性
尿崩症は、
抗利尿ホルモン(
バソプレシン、
ADH)の分泌障害により、腎臓の
集合管で水の
再吸収が上手くいかない事で、大量の尿が排泄されてしまう疾患である。
バソプレシンは、
視床下部で産生され、脳
下垂体後葉にて分泌される。
3→
甲状腺からは
サイロキシン(
T4)と
トリヨードサイロニン(T3)等の身体の
基礎代謝維持に関わるホルモンが分泌される。その他、
カルシトニン等
カルシウム調節に関わるホルモンが分泌されるが、排尿に関わるホルモンは分泌されていない。
4→
副腎皮質からは鉱質コルチコイド(
アルドステロン)といわれる
ナトリウムの
再吸収と
カリウムの排泄を促進するホルモンが分泌され、水の
再吸収を司り、
血圧や
ナトリウムや
カリウム等のミネラル調節に働く。よって、働く事で尿量は減る為、設問の症状は出ない。
また、
糖質コルチコイド(コルチゾル)という、糖新生に関わるホルモンも
副腎皮質から分泌される。