次の文を読み〔午前問題100〕、〔午前問題101〕、〔午前問題102〕の問いに答えよ。
Aさん(50歳、男性)は、
双極性障害で、これまでに
うつ状態と
躁状態で
入院歴がある。会社員の兄と2人で暮らしている。3か月前から服薬を中断するようになり、気分が沈みはじめ、1週前から朝起きられなくなった。2日前から1日中ベッドの中にいるようになったため、兄に付き添われて
入院した。
入院時は亜
昏迷状態、発語はほとんどなく、自力での歩行が困難なほど脱力が強かった。
入院後、
三環系抗うつ薬が開始された。
〔午前問題102〕
Aさんの精神状態の経過観察において最も注意すべき症状はどれか。
1→錯乱とは、意識混濁、精神運動興奮、
幻覚などが出現し思考が混乱している状態である。
急性一過性精神性障害や統合失調様状態、
てんかん、躁病などにみられる。
現在のAさんでは、最も注意すべき症状ではない。
2→強迫行為とは、不安や恐怖などから、過剰と分かっていても何度も同じことを繰り返してしまう行為である。
双極性障害や亜
昏迷状態とは、関連性がない。
3→失
見当識とは、場所や時間、状況、人物などを正しく認識できない状態で、
見当識障害ともいう。
意識障害や
認知症などでみられるが、
双極性障害ではあまりみられず、注意すべき症状ではない。
4→
双極性障害では、
躁状態と
うつ状態を交互に繰り返す。気分高揚は、
躁状態の症状の一つである。
Aさんは現在は
うつ状態にあるが、今後、
躁状態に移行し気分高揚が見られる可能性があるので、注意深い観察が必要である。