Aさん(48歳、男性)は、直腸癌のため全身麻酔下で手術中、出血量が多く
輸血が行われていたところ、41℃に体温が上昇し、
頻脈となり、
血圧が低下した。麻酔科医は下顎から頸部の筋肉の硬直を確認した。既往歴に特記すべきことはない。この状況の原因として考えられるのはどれか。
1→アナフィラキシーで体温上昇や筋肉硬直は症状として適切でない。
2→もともと
悪性高熱症にかかりやすい人が、一部の筋弛緩薬と手術のための麻酔ガスを併用した場合に生じるまれな、生命を脅かす体温の上昇である。
特徴的な症状は筋硬直で、原因不明の
頻脈、
不整脈、
代謝性アシドーシスなどが出現する。
血圧は不安定となり、呼気炭酸ガス分圧上昇・
低酸素血症が出現し、その後急激な体温上昇(15分間に0.5℃以上,40℃以上の体温)が始まる。
治療として誘因薬物の投与中止、ダントロレンの静注と全身冷却をおこなう。
3→菌血症は血流に
細菌が存在する状態をいう( 潜在性菌血症)。
設問からの情報だけでは考えにくい。
4→出血量が多く、
輸血しているということで
貧血状態であることは考えられるが、体温上昇や筋硬直などの症状がこの状況の原因とはならないと考えられる。