MS(
多発性硬化症)は、中枢神経の脱髄疾患で、
神経細胞の軸索を包む髄鞘(ミエリン)に障害が生じる疾患である。
脳や
脊髄、
視神経などに病変が起こり、特に
視神経に障害が出現しやすく、視力低下や
視野欠損が生じる。
診断には、
核磁気共鳴画像(
MRI)が有効であり、治療経過や効果をみる指標としても用いられる。
MRI検査では特に、脳室周囲の楕円形病変が特徴的である。
原因不明であるが自己免疫の関与が指摘されている。 再発と寛解を繰り返す。
脳幹部が障害されると目を動かす神経が麻痺してものが二重に見えたり(
複視)、目が揺れたり(眼振)、顔の感覚や運動が麻痺したり、ものが飲み込みにくくなったり、喋りにくくなったりする。
小脳が障害されるとまっすぐ歩けなくなったり、手がふるえたする。
大脳の病変では手足の
感覚障害や運動障害の他、認知機能にも影響を与えることもある。
ただし、病変があっても何も症状を呈さないこともある。
脊髄が障害されると胸や腹の帯状の痺れ、ぴりぴりした痛み、手足の痺れや運動麻痺、尿失禁、排尿・排便障害などが起こる。