次の文を読み〔午後問題91〕、〔午後問題92〕、〔午後問題93〕の問いに答えよ。
Aさん(45歳、男性)は、便に血液が混じっていたため受診した。検査の結果、直腸癌と診断され、自律神経を部分温存する
低位前方切除術が予定されている。
〔午後問題93〕
術後6日。
ドレーンから茶褐色で悪臭のある排液があった。Aさんは、体温38.2℃、
呼吸数20/分、
脈拍82/分、整であった。Aさんの状態で最も可能性が高いのはどれか。
1→腸炎でよくみられる下痢などの症状がなく、腸炎では
ドレーンからの排液は考えられない。
発熱があり
炎症は認められるが、
ドレーンからの茶褐色の排液を考慮すると
縫合不全の可能性が高い。
2→
胆汁瘻は、胆管に穴が開いて
胆汁が漏れることである。胆管や胆嚢などを手術する際にみられるため、
低位前方切除術で
胆汁瘻は考えにくい。
3→
術後合併症として
イレウスの危険性はあるが、
ドレーンからの茶褐色の排液があることを考えると
縫合不全の可能性が高い。
イレウスでは腹痛、
腹部膨満感、嘔吐、排ガス停止などがみられる。
4→腹腔
ドレーンから茶褐色の悪臭のある排液、発熱などの状況から、
縫合不全による腸内容物が腹腔に漏れていることが考えられる。
縫合不全は術後3~7日に起こりやすく、排液に
壊死組織がたまって悪臭を放つ。茶褐色の排液は腸内容物の漏出を示している。すでに発熱を認めており、腹腔内感染による急性腹膜炎も疑われる。
5→術後6日目であり、術後24時間以内に起こりやすい術後出血とは考えにくい。