Aさん(52歳、女性)は、
子宮頸癌で広汎子宮全摘術後に排尿障害を発症した。退院に向けて自己
導尿の練習を開始したが、39.0℃の発熱と右背部の叩打痛が出現した。Aさんの症状の原因として考えられるのはどれか。
1→
導尿後に発熱があった事より、自己
導尿による
尿路感染が疑われるが、通常
膀胱炎では、高熱や背部の叩打痛は生じない。
2→
虫垂炎では、右下腹部のマックバーネーに圧痛点があるのが特徴的であり、背部痛ではない。
3→症状の高熱と右背部の叩打痛から、
腎盂腎炎であると考えられる。自己
導尿によって、
大腸菌などの
細菌が上行感染で腎盂に到達し、そこで
炎症を生じたと思われる。
腎盂腎炎の原因の多くは
大腸菌の為、
抗菌薬にて治療する。
腎盂腎炎の症状として、悪寒戦慄、高熱(39~40℃)、
悪心・嘔吐、背部痛、腰痛などがある。また、肋骨
脊椎角(
CVA)叩打痛もみられる。
4→骨盤内膿瘍は骨盤内の臓器の感染症を総称したものである。症状として、下腹部痛・発熱・ときに
性器出血・
帯下の増加などがある。Aさんの症状からして、骨盤内膿瘍のような骨盤内
炎症性疾患は考えにくい。