Aさん(37歳、女姓)は、月経異常で病院を受診し、
糖尿病および
高血圧症と診断された。また、
満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。
1→
副甲状腺は甲状腺の裏面の四隅にある米粒大の
内分泌器官で、パラソルモンというホルモンを分泌する。パラソルモンは血中
カルシウム濃度を維持させる働きがあり、骨からの
カルシウムの放出と腎臓での
再吸収を亢進させる。その結果、血中
カルシウム濃度が上昇する。Aさんにはあてはまる症状がみられないため適切ではないと考えられる。
2→
甲状腺ホルモンはエネルギー代謝を調節するホルモンである。
甲状腺の濾胞細胞からは
トリヨードサイロニン(T3)、サイロシン(
T4)が分泌される。
甲状腺機能亢進症として
バセドウ病などがある。
3→Aさんの症状である
満月様顔貌や中心性肥満の身体所見から最も考えられるのは、
副腎皮質から分泌される
コルチゾールの分泌過剰によって起こる
クッシング症候群である。
副腎は、左右の腎臓の上に被さっている重さ10~15gの
内分泌器官である。
副腎は外側の皮質と中心部分の髄質があり、それぞれホルモンを分泌する。
4→
卵巣からは、
エストロゲン(
卵胞ホルモン)や
プロゲステロン(黄体ホルモン)などが分泌される。
卵巣ホルモンは月経に関連しているが、Aさんの
満月様顔貌や中心性肥満の身体所見から
副腎の問題が考えられるため不適切である。