第113回看護師国家試験 午後83

1→心タンポナーデで一般的なのは心拍数の増加（頻脈）です。心拡張の妨げによる心拍出量の低下を補うために、反射的に心拍数は上昇します。徐脈は心タンポナーデの特徴的な症状ではありません。

2→心タンポナーデの状態では心膜腔内に液体が溜まるため、心音が体表から聞き取りにくくなります。このため、心音減弱が観察されることが多いです。この選択肢が正解です。

3→心タンポナーデでは、液体の蓄積が心室の拡張を圧迫し、結果的に心拍出量は減少します。心拍出量が増加することはありません。

4→心室拡張の妨げにより、中心静脈圧は上昇します。これは血液が心房に戻りにくくなるためです。臨床的には頸静脈の怒張などが観察されることが一般的です。選択肢4が正解です。

5→心タンポナーデでは吸気時に収縮期圧が10mmHg以上下降する、いわゆる「パルススパラドックス」が生じることがあります。このため、上昇するとされる選択肢5は不正解です。