次の文を読み〔問題106〕、〔問題107〕、〔問題108〕の問いに答えよ。
Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色
帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず掻痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは
性感染症〈
STD〉を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、
脈拍62/分であった。
〔問題106〕
Aさんの状態に最もあてはまる
性感染症〈
STD〉はどれか。
1→
性器ヘルペスは、単純
ヘルペスウイルス1型もしくは2型の感染によってする。外陰部、腟、肛門、太もものびらん、強い痛み(疼痛感)、かゆみをともなう皮膚粘膜症状などの症状が現れる。
2→
尖圭コンジローマとは、ヒトパピローマ
ウイルス(HPV)の感染によって生じるイボの一種で、性的行為を活発に行う若い世代に多く見られる。性器や肛門の周囲にできる特徴的なイボで、イボはヒトパピローマ
ウイルス(HPV)に感染してから数週間から数か月を経て現れて
帯下が増加する。
3→腟トリコモナス症は、腟トリコモナス原虫が腟内に定着することで起こる感染症である。泡状で悪臭を伴う淡黄色のおりものが増加し、外陰部の強い掻痒感が見られる。また、腟壁の粘膜が通常より赤くなり、腟に点状や斑状の出血が見られる。トリコモナス腟炎の約10~20%は感染していても症状が現れない無症候性感染もある。
4→性器
クラミジア感染症は、
クラミジア・トラコマチスの一種により生じる
性感染症 (
STD)で、わが国で最も多い
性感染症である。感染後数週間で発症し、女性の場合はおりものが増える事があるが約80%は無症状とされる。
女性の場合は急性腹膜炎、子宮頸管炎・子宮内膜炎・
卵管炎になり、進行すると
骨盤腹膜炎になったり肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)や
卵巣炎を引き起こし、子宮外妊娠(
卵管妊娠)や不妊の原因となる事もある。
また産道感染により、新生児が
結膜炎・
肺炎を発症することがある。また絨毛膜羊膜炎をおこし流産、早産の原因ともなる。更に、
クラミジアに感染していると、他の
性感染症や
HIVの感染率が飛躍的に高くなるとされている。