Aさん(64歳、男性)は、2年前に
前立腺癌と診断され、
内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎
転移と診断された。
Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。
1→
関連痛とは、
肝臓の病変が原因で肩や背中に痛みを感じるなど、疾患で障害されている部位とは異なる部位に痛みが出現することである。
Aさんは腰椎
転移が確認されており、腰部痛の原因は病巣があることによるものと考えられるため、
関連痛とは考えにくい。
2→
体性痛とは、皮膚や骨、筋肉、関節などの体性組織がダメージを受けることにより生じる痛みであり、損傷部位に限局した痛みを生じるものである。
Aさんに生じている痛みは、腰椎
転移による
体性痛であると考えられる。
3→中枢痛は中枢神経の損傷や機能障害により生じる痛みのことであり、
脳卒中や
脊髄損傷後の疼痛が該当する。
腰椎
転移の場合は中枢神経を損傷することはないため、中枢痛は起きない。
4→
内臓痛は、内臓がダメージを受けることで発生する痛みであり、症状のある部位がはっきりせず鈍い痛みや押されるような痛みとして表現されることが多い。Aさんは腰椎
転移が確認されているが、内臓に損傷はなく、
内臓痛は考えにくい。