次の文を読み109~111の問いに答えよ。
Aさん (32 歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物
依存症の治療を受けることができる精神科病院に
入院し、治療プログラムに参加することになった。
問題110
入院2週後、Aさんは病棟生活のルールを守ることができず、それを注意した看護師に対して攻撃的になることがあった。別の看護師が A さんに理由を尋ねると「指図するような話し方をされると、暴力的だった父親を思い出し、冷静でいられなくなる」と話した。
このときAさんに起こっているのはどれか。
1→クライアントが、過去に重要な他者(両親など)との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者(多くの場合は治療者)に対して向ける非現実的態度を
転移と呼びます。
過去の重要な他者に向けられていた愛着欲求や依存欲求が向けられることを陽性
転移、敵意や攻撃欲求が向けられることを
陰性転移と言います。
2→治療者側が患者に対して、感情や態度を向けることであり、
逆転移の感情は治療を妨害するため、抑制、除去されるべきと考えられている。
3→躁的防衛とは、原始的
防衛機制の一種で、自分の大切な対象を失ったり、傷つけたりしてしまったと感じた時に生じる不安や
抑うつ感などの精神的苦痛から逃れるために、現実を否定し、なんでも自分の都合のよいように解釈することをさします。一見すると楽しそうに振舞うため「躁的」と呼ばれる。
4→
反動形成とは、S.
フロイトが発見した
防衛機制の一つ。無意識の中に抑圧されている強い感情や衝動が、意識できる側面で正反対の傾向となって行動などにあらわれること。
例として、好きな人に冷たくするなどがあげられる。