1→
尺骨神経麻痺では手の尺側(小指側)の
感覚障害と手内在筋の萎縮が生じ、「
尺骨神経性尺側手根屈筋」や「第4・5中手骨間筋」が動かず、いわゆる“尺側裂手(ulnar claw)”が見られる。手首や手指の屈伸には大きな影響はない。
2→
正中神経麻痺では親指を対立させる筋力が低下して「
猿手(ape hand)」や「教会の祈り手(hand of benediction)」と呼ばれる手指変形が現れる。手首の
屈曲や人差し指・中指の
伸展は温存されるが、母指
外転ができなくなる。
3→
橈骨神経が麻痺すると手首伸筋および指伸筋が働かず、「下垂手(wrist drop)」を生じる。肘部や上腕後面で損傷を受けると、腕を伸ばしても肘は
屈曲しないが、最大の特徴は手首が垂れ下がることである。
4→
腓骨神経麻痺では前
脛骨筋など下腿の伸筋が動かなくなり、「下垂足(foot drop)」を招く。つまずきやすい“スティープエイジ歩行(steppage gait)”が見られ、足趾背側の
感覚障害を伴うことが多い。