A さん (30歳、 男性) は、 昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。 会社の会議ではいつも寝てしまい、 居眠り運転で交通事故を起こしたこともある。 笑ったときに脱力してしまうことや、入眠時に誰もいないのに人影が見えたり、 睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。
最も考えられる疾患はどれか。
1→ナルコレプシーは、昼間の過剰な眠気や、感情の高まりによる筋力の脱力(カタプレキシー)、
幻覚や睡眠麻痺などを特徴とする
睡眠障害です。Aさんが経験する昼間の過度な眠気、笑った時の脱力、入眠時の
幻覚や睡眠麻痺はナルコレプシーの特徴的な症状であり、この病態に一致します。選択肢1が正解です。
2→
レム睡眠行動障害は、通常
レム睡眠中に抑制されるべき筋肉の活動が異常に活発となり、夢を見ている内容を体が動かしてしまう障害です。主に眠りながら暴れるなどの行動を伴いますが、Aさんの症状にはあてはまらず、特に昼間の過度な眠気を引き起こす症状ではありません。
3→
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返し呼吸が停止し、その結果、日中の過度な眠気や頭痛が生じる状態です。しかし、無呼吸の報告がなく、入眠時の
幻覚や睡眠麻痺、感情による脱力という症状が特有ではないため、このケースにはあてはまりません。
4→レストレスレッグス症候群は、脚に不快感や強い衝動を感じる症状であり、これが睡眠を妨げることがあります。しかし、Aさんが訴えるような眠りに対する直接の障害とは異なります。また、昼間の過剰な眠気やカタプレキシー、
幻覚、睡眠麻痺が主要な症状ではありません。