電動のこぎりの操作ミスで、左第2指と3指とも近位指節間〈PIP〉関節と遠位指節間〈DIP〉関節の間で切断した患者が、手指の
再接着術を受けた。他に外傷はない。術後1日の観察で適切なのはどれか。
1→Volkmann〈フォルクマン〉拘縮とは、
上腕動脈の循環障害により生じる。前腕の筋群で、特に屈筋群に非可逆的壊死をきたして拘縮や麻痺を起こすものである。
フォルクマン拘縮は
上腕骨顆上骨折後の早期合併症として、また肘周辺や骨折後の内出血やギプスによる圧迫に伴う循環不全により生じる可能性がある。観察時に注意すべきポイントである。
2→切断部が遠位のため、中手指節(MP)関節の
関節可動域には影響はないと考えられる。
3→最も注意して観察すべき点は、接着部位より遠位の血液循環状態である。特に術後24時間以内は注意が必要。
固定時は、観察できるように指先を出して包帯や固定をしておく。
4→瘢痕化にはかなり時間がかかる。傷の状態を観察していくことは必要だが、術後1日の観察としては適切でない。