A さん (86歳、 女性) は、 生まれ育った地域で、近所に住む友人と交流しながら1人で暮らしていた。 買い物へ行く途中に転倒し、
腰椎圧迫骨折(lumbar compression fracture)で
入院治療を受け退院後は他県に住む長女夫婦と同居している。 暮らし始めて間もなく、Aさんは「私はここで暮らして、 新しい友人ができるかしら」 と長女に訴えるようになり、徐々に口数が少なくなった。このときのAさんの状況はどれか。
1→閉じこもりは、社会的な理由や心理的な問題で外出を避け、他人との交流を極力控える状態を指します。Aさんは転倒事故後に長女の家で同居を始め、新しい友人ができるかと心配する発言がありますが、閉じこもっているという描写からは外れます。従って、この選択肢は正解ではありません。
2→
廃用症候群は、長期間の安静や活動不足によって生じる、筋力低下や関節拘縮、心肺機能の低下などを含む一連の症状を指します。Aさんは
腰椎圧迫骨折からの回復過程にあり、
廃用症候群が生じる可能性はありますが、設問はAさんの心理的な変化に焦点を当てているため、この選択肢は問題文の情況を正確に反映していません。
3→セルフ
ネグレクトは、自身の健康や衛生を怠り、自己ケアが不十分になる状態を指します。Aさんの訴えは自己を顧みないことへの懸念とは異なり、心理的な適応に関連しているため、この選択肢は適切ではありません。
4→リロケーションダメージは、引っ越しや移住といった生活環境の大きな変化によって、特に高齢者が経験する心理的なストレスや不安定な状態を指します。Aさんは故郷から離れて長女夫婦との同居生活を始めており、環境の変化によって新しい友人やコミュニティへの適応に不安を抱いています。これは、リロケーションダメージの典型的な症状を反映しており、選択肢4が正解です。