Aさん (73歳、女性、要介護1)は1人で暮らしている。 室内の家具や手すりなどの、左右にあるものにうまくつかまりながら、バランスをとって移動している。
Aさんは「腕の力も足の力も落ちてきた。 両手を使って体を支えるものがないと屋外の移動は不安だが、 足の筋力が落ちないように近所の散歩を始めたい」と
訪問看護師に相談があった。 Aさんの住居の廊下や玄関に段差はなく、住居周辺には抜や段差のない舗装された歩道がある。
福祉用具を図に示す。
訪問看護師がAさんに勧める福祉用具で適切なのはどれか。
1→三点杖は、三点で地面を支えることができる杖で、
片麻痺の方など片方の足や腕に障害がある人に適しています。Aさんの場合、腕の力や足の力が落ちているものの、左右どちらの手すりにもつかまりながら移動しているため、三点での支持は必要ないと考えられます。
2→自走用標準型車椅子は、利用者が自分で車輪を回して移動することができる車椅子です。Aさんは屋外での移動に不安があるものの、足の筋力維持を望んでおり、座った状態での移動はAさんの要望に合わず、筋力維持の目的にも適していません。
3→松葉杖は、主に下肢の骨折などで足を使うことができない人が使う福祉器具です。Aさんは双方の腕を使っての支持を希望しており、足の筋力も維持したいという考慮から、松葉杖は適切ではありません。
4→車輪付きの歩行器は、前面に車輪が付いていて、押しながら歩行することで全体のバランスを取りながら補助ができる器具です。Aさんが両手で体を支えつつ歩行したいという要望と、足の筋力を落とさずに歩行訓練を行いたいというニーズに適しています。住居の廊下や玄関に段差がなく、周囲が舗装されているため、車輪付きの歩行器を使用するのにも環境的な障害は少ないでしょう。