第104回国家試験 午後66
Aさん(38歳、女性、パート勤務)は、腹痛のため、姉に付き添われて救急外来を受診した。診察時、身体には殴られてできたとみられる複数の打撲痕が確認された。腹痛の原因は夫から蹴られたことであった。Aさんは「家に帰るのが怖い。姉には夫の暴力について話したくない」と泣いている。外来での看護師の対応で適切なのはどれか。
正解!
不正解 答え 2
1→本人は姉に夫の暴力を知られたくないと話している。本人の意思に反して姉に見てもらうことは適切ではない。
2→医療従事者は
配偶者暴力を発見した場合、本人を保護してもらうために
配偶者暴力相談支援センターか警察に通報することができる。これは
守秘義務違反にはあたらない。通報時には、「本人の意思を尊重するよう努める」とすることが、
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(
DV防止法)に定められている。
3→暴力を受けたことで心理的にも傷を受けている状態である。痛みと恐怖がある診療のこの場で具体的な状況を聞くことは、余計な心的負担をかけるため適切ではない。
4→暴力をふるわれた女性は「おまえが悪い」という言葉によって自責感を抱くことが多い。たとえAさんが夫を怒らせたとしても、暴力行為は正当化されない。外来看護師として、このように対応すべきではない。